クリーンルームでの作業を窓から見学。紫外線の出ない黄色い蛍光灯を使い、床も二重構造になっている
見学したのはこの団体
山形大学工学部(米沢市)の学生9名
山形大学工学部と山形県が主催する「地域企業魅力発見事業"山形で自分をみつける旅"」で訪れました。このツアーは2泊3日で計8社を見学。最後の訪問企業とあって、学生達も見学と質問に全力を尽くしていました。
半導体製品の高機能化・小型化・省エネルギー化を実現
ウェーハと呼ばれるシリコンの板に、回路のパターンを転写。その後不要な部分を除く(この作業が何回も繰り返される)
ウェーハから作る回路(半導体)のチップを埋め込んで加工し、各種IC製品が完成
県内有数の産業集積地、東根市のテクノタウン・東根大森工業団地の一角にある、株式会社東根新電元。東証一部上場企業の新電元工業株式会社のグループ会社として1981年に創立し、主に半導体デバイスの製造を行っています。その品目は、高性能パワーICをはじめ、MOSFET、トランジスタ、高速ダイオードなどさまざま。薄型テレビやブルーレイレコーダーといった家電製品から自動車電装品まで、私たちの身の回りの幅広い製品に組み込まれ、世に送り出されています。「近年では、待機時消費電力を大幅に抑えたパナソニックのブルーレイ/DVDレコーダー『DIGA』にも弊社の半導体が導入されました」と堀口健治社長。必要性が増す、省エネルギーへの対応にも力を入れています。
製造部門にあたる東根新電元ですが、親会社である新電元株式会社の設計開発部隊が分室を設け常駐していることも大きな特徴です。堀口社長曰く「製造現場に近いところで設計開発・研究開発をしていくため」。製造以外にも、"新電元プロダクティビリティイノベーションシステム"と呼ばれる、社員全員参加による生産性の改善にも取り組んでいます。国内はもちろん、フィリピンやタイ、中国などの海外拠点も含めたグループ会社が連携し、環境保全をはじめ、さまざまな取組みを実施しています。
堀口社長から会社の説明を受けた後、全員白衣と帽子を着用し、エアシャワーを通って工場見学へ。「製造の工程は大きく半導体のチップをつくる"前工程"と、主に組み立てを行う"バック工程"に分かれます。さらに製品のパターンや細かさ、クリーニングの工程によって工場内の環境が異なり、現在、4つの工場棟で作業が行われています」と笹原 実総務課長。
学生たちは、通路からガラス越しに前工程の作業を見学。「ウェーハというシリコンの丸い板に、精密な加工を幾重にも施して、半導体のチップを作っていきます」。笹原総務課長は、写真や見本などを用いながら、半導体チップがどのようにして出来上がるか教えてくれました。
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| クリーンルームでの前工程作業を詳しく教えてくれた笹原総務課長 |
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何回も加工が重ねられるウェーハプロセスの工程は、まさしくミクロの世界 |
各種IC製品が展示されているケース。照明器具やアダプター、車の電装部品など、さまざまな精密機械に使用される |
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質疑応答の時間では、会社の改善活動から社長の大学時代まで質問が及んだ |
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ものづくりの"現場力"が会社を強くする
自身も工学部出身で新電元工業株式会社に入社し、設計開発をしてきたという堀口社長
見学後のディスカッションで堀口社長は、「3年経つと3割の新入社員が辞めるといわれている時代、意志を持って会社を選ぶことは非常に大切」と話されました。「このツアーでいろんな会社のいろんな場面に遭遇できたのはとてもいい機会。自分が何をしたいのか、どんな強みや弱みを持っているか、多くの人と相対することで見えてくる。ぜひこの経験を活かして欲しい」。
続けて企業が求める人材についても言及、「我々が一緒に働きたいと思うのは、応用力や理解力に長けている"地頭の良さ"を持った人材」と語られました。それはすなわち、自分以外の立場や視点から物事を俯瞰し客観的に見ることのできる「想像力」と、その想像力を切り口に独創的なアイディアを生み出せる「創造力」を併せ持っていること、とも。例えばICの平面設計のプロセスをとっても、頭の中で電圧や容量のことをイメージしながら設計を行うことがとても大切だといいます。「その想像(創造)力を大学生活の中でどのようにして鍛えたらよいか」という学生の問いには、「視点や立場を今まで思ってもみなかったところに置いてみる。そうやって一つずつでもいいから、考える際の次元を多くしてみること」と教えてくれました。
また、付加価値を生み出すものづくりの現場が会社の源泉であり、要だと語る堀口社長。「変化に強い会社を目指し、現場ができることは」との問いには、「一人ひとりが仕事のスキルと柔軟性を高めることで、それが会社全体の資産となり、ひいては変化への強さに繋がっていく」と話されました。
ご自身の学生時代の体験談なども交えながら、就職活動に関してもさまざまなアドバイスをくださった堀口社長。学生たちも引き込まれるように耳を傾け、刺激的なディスカッションとなりました。
(2011/9/22)
参加者の感想
物質化学工学科
三浦和博さん社長の話を聞き、私が最も印象に残ったことは、「変化に対応する」ということだ。変化に対応できる者が生き残るという生存競争の法則は、企業の生存競争にも当てはまる。他社と同じような仕事しかできない企業は、価格競争に巻き込まれてしまう。そして、淘汰されてしまうだろう。東根新電元は、会社として変化に強くなるために、まず会社員一人ひとりが変化に強くなる必要があるといい、地頭の良い人材、想像(創造)力のある人材を求めていた。時代の変化に対応する能力は、これからますます重要になっていくと感じた。
システム創成工学科1年
牧野和樹さん東根新電元は今回訪問した企業の中で一番ハイテクな分野の企業だった。社長が私達に話してくださったことは「現場」と「そうぞうりょく」についてである。製品をつくる企業はそのつくっている現場の社員が会社の理念を体現できていれば不測の事態が起きても大丈夫だという。「そうぞうりょく」とは想像力と創造力の二つの意味である。視点を変えて見ることができる想像力によって新しいものを創造することができるのだ。
株式会社東根新電元
代表者:取締役社長 堀口 健治
創業:1982年
従業員数:272名
事業内容:モータドライバIC、MOSFET、トランジスタ、
高速ダイオードなどの製造
所在地:山形県東根市大字東根甲5600-1
TEL:0237-43-5211
FAX:0237-43-5256
URL:http://www.h-shindengen.co.jp/
新電元工業株式会社の半導体事業部門の基幹工場として1982年に創立。以来、常に新技術に挑戦し、高性能パワーICなど最新鋭の半導体デバイスの製造を行っている。世界に広がる生産ネットワークの一翼を担うとともに、2005年には環境保全推進賞「山形県知事賞」を受賞するなど、環境保全活動にも力を入れている。